高校卒業後の進路として就職を考えている方の中には、「高卒だと就職は厳しいのでは?」「どんな仕事に就けるのか分からない」といった不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。この記事では、高卒者の就職事情や人気の業界・職種、効果的な就職活動の進め方について解説します。
高卒での就職は本当に不利なのか?
「高卒は就職が難しい」というイメージを持っている方は多いかもしれません。しかし、実際のデータを見ると、その認識は必ずしも正しくないことが分かります。
高卒と大卒の就職内定率を比較してみると
文部科学省の発表によると、令和5年3月高校卒業者の就職内定率は98.0%となっています。一方、大学卒業予定者の就職内定率は91.6%です。
このデータから、高卒者の就職内定率は大卒者と比べても高い水準にあることがわかります。男女別でも、高卒男子の就職率が98.4%、女子が97.3%と、性別による大きな差は見られません。
参考:文部科学省「令和5年3月高等学校卒業者の就職状況(令和5年3月末現在)に関する調査について」、「令和5年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査(2月1日現在)
学歴フィルターの実態とその影響
一部の大手企業では、応募条件として「大卒以上」を掲げていることも事実です。特に総合商社や金融機関などの業界では、書類選考の時点で学歴によるフィルターが存在します。このため、高卒者の場合は志望する企業や業界を選ぶ際に、この点も考慮に入れる必要があります。
高卒者が狙うべき就職先の特徴
高卒者の採用に積極的な企業には、いくつかの特徴があります。これらの特徴を知ることは、就職活動を進める上で重要なポイントとなります。
採用に積極的な企業の共通点
高卒者の採用に積極的な企業には、以下のような特徴があります。人材が不足している業界では、学歴よりも意欲や実力を重視する傾向があります。また、若手の体力や行動力を必要とする職種も、高卒者の採用に積極的です。さらに、社員教育に力を入れている企業も、将来の成長を見込んで高卒者を採用する傾向にあります
高卒者の求人が多い業界の最新動向
厚生労働省の調査によると、高卒者の求人が多い業界の上位には、製造業(約13万3000件)、建設業(約7万3000件)、卸売業・小売業(約4万5000件)などが挙げられます。これらの業界は慢性的な人手不足に悩んでおり、若手人材の採用に積極的です。
高卒者に人気の職種と必要なスキル
高卒者が活躍できる職種は多岐にわたります。それぞれの職種に必要なスキルや適性を理解しておくことは、職業選択の参考となります。
製造・建設分野で活躍できる職種
製造業では、部品の組立や検査、機械オペレーターなどの職種があります。これらの仕事では、作業の正確性や集中力が重要です。建設分野では施工管理職が人気です。現場の管理や安全確認などを担当し、資格取得によるキャリアアップも可能です。
IT・サービス業界での活躍が期待できる職種
IT業界では、プログラマーやWebデザイナーとして活躍が可能です。入社前に基本的なパソコンスキルがあれば、入社後に専門知識を習得できる環境が整っていることが多いです。また、サービス業界では接客・販売職が人気です。コミュニケーション能力を活かせる仕事として注目されています。
事務職・営業職での可能性
事務職は、特に女性に人気があり、データ入力や電話応対などの業務を担当します。営業職は実力次第で高収入も期待でき、コミュニケーション能力を重視する企業が多いため、高卒でも活躍の機会があります。
高卒就職のメリット・デメリット
高卒就職には様々なメリットとデメリットがあります。これらを理解することは、進路選択の重要な判断材料となります。
早期キャリア形成のメリット
大卒者と比べて4年早く社会人としてのキャリアをスタートできます。早い段階から実務経験を積めることは、将来のキャリア形成において大きな強みです。また、経済的な自立も早期に実現できます。
経済面での考慮すべきポイント
進学費用がかからないという点は大きなメリットです。4年間の大学にかかる学費総額は、国立大学で約242万5000円、公立大学で約245万5000円、私立大学文系で約408万円、私立大学理系で約551万円となっています。
一方デメリットとしては、大卒と比べると初任給が低めになることです。厚生労働省の統計によると、60歳までの生涯賃金は、高卒の場合、男性で2億1280万円、女性で1億5230万円となっています。これに対し、大卒・大学院卒の場合は男性が2億6910万円、女性が2億1730万円となっており、その差は男性で約5,630万円、女性で約6,500万円にのぼります。
ただし、この差は平均値であり、個人の能力や努力、業界・職種によって変動する可能性があります。また、4年早く収入を得られることで、その分の貯蓄や投資が可能となる点も考慮に値します。
※参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 「ユースフル労働統計 2021 21.生涯賃金など生涯に関する指標」、文部科学省「2021年度学生納付金調査結果」
将来のキャリアパスにおける可能性
若いうちから実務経験を積めるため、キャリアチェンジの可能性も広がります。ただし、大卒求人には応募できないなど、選択肢に制限がかかる場合もあります。
高卒就職を成功させるための具体的な準備と対策
就職活動を成功させるためには、充分な準備と対策が重要です。ここでは具体的な準備方法について説明します。
効果的な就職活動の進め方
就職活動は早めに開始することが重要です。業界研究や企業研究を通じて、自分に合った職場を見極めることから始めましょう。また、希望する業界で必要とされる資格があれば、取得を目指すことも有効です。
応募書類の作成ポイント
履歴書は丁寧に作成し、志望動機は具体的に記載します。学歴は中学校からの記載が必要です。また、アルバイト経験や課外活動なども積極的にアピールするとよいでしょう。
履歴書の書き方がわからない方は、以下の記事をご覧ください。
面接での自己アピール方法
面接では、高卒で就職を選んだ理由を明確に説明できるようにしておくことが大切です。また、仕事への意欲や自分の強みを具体的に伝えられるよう準備しておきましょう。
面接の準備とマナーについて、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
高卒者向け求人の探し方と活用すべきサービス
求人情報の入手方法を知ることは、就職活動を進める上で重要です。利用可能なサービスを適切に活用しましょう。
学校を通じた求人の活用方法
高校に届く求人票は、確実な就職先を見つけられる重要な情報源です。進路指導の先生に相談しながら、自分に合った求人を探すことができます。ただし、一人につき一社しか受けることができないため、慎重に検討する必要があります。
ハローワークの効果的な利用法
ハローワークでは、地域に密着した多くの求人情報を得られます。就職相談や職業紹介なども無料で利用できる公的機関です。地元で働きたい方には特に有効な手段となります。
就職支援サービスの選び方
就職エージェントに登録すると、非公開求人の紹介や履歴書添削、面接対策など、手厚いサポートを受けられます。高卒就職に強いエージェントを選ぶことがポイントです。
まとめ
高卒での就職は決して不利ではありません。むしろ、早期からキャリアを築けるという大きなメリットもあります。就職活動を成功させるためには、自分に合った業界・職種を見極め、計画的に準備を進めることが大切です。
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