高卒で海上保安庁に採用されるためには!試験科目から対策まで紹介

「海上保安庁に就職したい」

 

「高卒でも海上保安官になれるの」

 

さらに、普通の採用試験と違ってどのように勉強したらいいのか、わからないという人も多いと思いのではないでしょうか。

 

この記事では、そんな悩みを持つ人のために、試験科目から試験対策の方法まで、詳しく紹介していきます。

 

ぜひ、最後までご覧ください。

海上保安庁とは

海上保安官とは、海上や沿岸の犯罪を取り締まり、領海警備や救助、災害対応など、航行安全に取り組んでいるので、「海の警察官」とも言えるでしょう。

 

日本の領海は約38万㎢で、排他的経済領域は約447万㎢、海上保安官はこの広大なエリアを24時間365日守っている、環境保全の活動をする国家公務員なのです。

 

主に巡視船や航空機で海を監視するのですが、それだけでなく本庁など陸上での勤務もあり、活動の場所もさまざまになります。

高卒で海上保安官になるには

高卒で海上保安官になるには、以下のような2つの選択肢があり、必ずどちらかに入学する必要があるのです。


  • 海上保安大学校
  • 海上保安学校

 

このルートは、年齢や学歴など将来の進路によって分かれているので、それぞれ詳しく紹介していきます。

海上保安大学校

海上保安大学校とは、幹部候補を育成するための学校で、学科は「本科」と「初任科」に分かれています。

 

本科は4年間で、高卒から20歳まで受験が可能です。

 

初任科は大学卒業者が対象となり、研修期間は2年間、2年目から特修科に編入させられます。

 

本科を卒業すると、専門科を6ヶ月、研修科国際業務課程を3ヶ月、世界一周の海洋航海や海上保安業務の実務教育を行うのです。

 

さらに、初級幹部職員として全国に配属され、巡視船に乗り組み、領海警備や海難救助、海上犯罪の取締り、海上交通の安全確保などの業務を行います。

 

その後、海上勤務として本庁の事務所で海上保安行政の企画立案など、他省庁の勤務にも従事し、幹部職員としてキャリアを積めるのです。

海上保安学校

海上保安学校とは、一般職員を育成するための学校です。

 

こちらは、入学した時点で以下の5つの課程に分かれます。


  • 船舶運航システム課程(1年):船を操縦したり航海の際に必要な知識について学習する
  • 航空課程(1年):ヘリコプターについて学習し卒業後はパイロットや整備士になる人が多い
  • 管制課程(2年):陸から船の交通を監視する管制官を育成し他の課程に比べると船に乗る機会が少ない
  • 情報システム課程(2年):無線やパソコンに強い海上保安庁の裏方敵役割を育成する
  • 海洋科学課程(1年):海洋調査や測量、海図の作成方法について学習

 

さらに、それぞれの専門科目に加えて、全課程共通科目を学んでいくのです。

海上保安官の倍率

海上保安大学校、2020年の応募者は440人で合格率は18%です。

 

応募者数は毎年減少傾向にあり、平均合格率は14〜18%ほどになっています。

 

それぞれの過程によっても倍率は異なるので、以下で詳しく紹介していきましょう。


  • 船舶運航システム課程:応募者3,310人・合格率16.8%
  • 航空課程:応募者309人・合格率10.4%
  • 情報システム課程:応募者195人・合格率32.3%
  • 管制課程:応募者83人・合格率31.3%
  • 海洋科学課程:応募者86人・合格率20.9%

 

どの過程も、応募者数は毎年減少傾向にあるようです。

海上保安官の採用試験科目

海上保安官の採用試験科目を、海上保安大学校と海上保安学校、それぞれ詳しく紹介します。

海上保安大学校採用試験

まず、海上保安大学校(本科)の場合、以下のようになっています。

【一次試験(筆記試験)】

  • 基礎能力試験(多肢選択式、知能分野、知識分野)
  • 学科試験(多肢選択式と記述式、数学と英語は必須、物理と化学から1科目選択)
  • 作文試験

 

【二次試験】

  • 人物試験(個別面接)
  • 身体検査、身体測定、体力検査

 

一方、海上保安大学校(初任科)の場合は、以下を参考にしてください。

【一次試験(筆記試験)】

  • 基礎能力試験(多肢選択式、知能分野、知識分野)
  • 論文試験

 

【二次試験】

  • 人物試験(個別面談)
  • 身体検査、身体測定、体力検査

海上保安学校

次に、海上保安学校の場合、試験科目は課程ごとに異なるため、それぞれ紹介します。

船舶運航システム課程

【一次試験(筆記試験)】

  • 基礎能力試験(多肢選択式、知能分野、知識分野)
  • 作文試験

 

【二次試験】

  • 人物試験(個別面接)
  • 身体検査、身体測定、体力検査

 

航空課程

【一次試験(筆記試験)】

  • 基礎能力試験(多肢選択式、知能分野、知識分野)
  • 学科試験(多肢選択式、数学か英語)
  • 作文試験

 

【二次試験】

  • 人物試験(個別面接)
  • 身体検査、身体測定、体力検査

 

【三次試験】

  • 人物試験(個別面接)
  • 適性検査(操縦検査)
  • 身体測定(精神、神経系)

 

情報システム課程

【一次試験(筆記試験)】

  • 基礎能力試験(多肢選択式、知能分野、知識分野)
  • 学科試験(多肢選択式、数学か英語)
  • 作文試験

 

【二次試験】

  • 人物試験(個別面接)
  • 身体検査、身体測定、体力検査

 

管制課程

【一次試験(筆記試験)】

  • 基礎能力試験(多肢選択式、知能分野、知識分野)
  • 学科試験(多肢選択式、数学か英語)
  • 作文試験

 

【二次試験】

  • 人物試験(個別面接)
  • 身体検査、身体測定、体力検査

 

海洋学科課程

【一次試験(筆記試験)】

  • 基礎能力試験(多肢選択式、知能分野、知識分野)
  • 学科試験(多肢選択式、数学か英語)
  • 作文試験

 

【二次試験】

  • 人物試験(個別面接)
  • 身体検査、身体測定、体力検査

 

海上保安官の試験対策方法

海上保安官の試験対策は、以下の4つです。


  • 専門学校で学ぶ
  • 通信講座で勉強
  • 独学で勉強する
  • 体力作りを行う

 

では、それぞれ詳しく紹介していきます。

専門学校で学ぶ

まず、専門学校で学ぶメリットとデメリットを紹介します。

メリット

  • 質問やアドバイスがもらえる
  • 効率的に学習できる
  • 仲間が見つかる
  • 科目別受講もできる

 

デメリット

  • 費用がかかる

 

専門学校では、専用の教材が用意してあり、決められた通りに学習を進められます。

さらに、わからないところはいちいち自分で調べたりせず、すぐに質問できるのでより勉強に集中できるのです。

周りは同じ目標に向かって頑張る人たちなので、モチベーションも保てるでしょう。

費用は専門学校によっても異なるため、事前に確認しておくと安心です。

通信講座で勉強

次に、通信講座で勉強する方法のメリットとデメリットです。

メリット

  • 専用の教材がある
  • 個別受講もできる
  • 質問できる

 

デメリット

  • 解答してもらうまでに少し時間がかかる
  • 費用がかかる

 

こちらも、専用の教材が用意してあることがほとんどなので、自分でどの参考書を購入しようか悩む必要がありません。

さらに、受講科目も自分で選択できるので、苦手な分野だけ受講すればその分コストも削減できます。

ただ、専門学校と異なり、疑問点に対して解答がすぐに返ってこないので、その場ですぐに解決するということは不可能です。

もし、どちらを受講しようか迷っている方は、その点を踏まえて検討してみると良いでしょう。

独学で勉強する

次は、独学で勉強する方法のメリットとデメリットです。

メリット

  • 費用が少ない
  • 自分のペースで学習できる

 

デメリット

  • 自分で計画を立てる必要がある
  • モチベーションを保つのが難しい

 

最初の2つと異なり、受講費用はかからず、参考書程度の出費で済むので、コストは大幅に削減できます。

さらに、自分のペースで学習できるので、周りの人に合わせる必要もありません。

ただ、一人で勉強するということは、その分モチベーションの維持は大変です。

わからないところも自分で調べる必要があるため、途中で心が折れてしまうこともあるでしょう。

この方法は、自分自身に厳しくできる人におすすめです。

体力作りを行う

最後は、体力作りを行う方法です。

 

たくさんの試験科目がありますが、そのなかには体力検査もあります。

 

勉強することに並行して、日頃から体力作りも怠らないようにしましょう。

 

体力試験の内容としては、上体起こしや反復横跳び、鉄棒両手ぶら下がりなどがあるので、これらは事前に訓練しておくと良いかもしれません。

 

海上保安官になりたい人のなかには、泳げないという人もいるかもしれませんが、それで試験に落ちるということはないようです。

 

入学してから泳げるようになるという方もいるのですが、不安な人は水泳も入学前に訓練しておくと安心でしょう。

まとめ

この記事では、高卒で海上保安庁に採用されるために必要な、試験科目から実際の試験対策の方法まで詳しく紹介しました。

 

海上保安官になるためには、まずきちんと学校に入学する必要があるため、試験対策を参考に必要科目をしっかり勉強しましょう。

 

さらに、学習する科目がたくさんあるのはもちろんですが、実際に海上保安官として勤務していくには体力も重要です。

 

その点も踏まえて、今の自分はなにをする必要があるのかしっかりと考えた上で、目標に向かって突き進んでいきましょう。